フットクリエイトを始めた頃、ドイツの健康靴事情を勉強するために、ドイツ国内を歩いて回ったことがありました。街で見かけるドイツ人は、必ずしも足の健康最優先の靴を履いているわけではありませんでしたが、しっかりした革の紐靴を履かせてもらっている「子ども」は、あちらこちらで見かけたことが、とても印象的でした。「99%の子どもは健康な足を持って生まれ、50%の大人は足にトラブルをかかえている」このような言葉が示すように、靴の選び方一つが足の健康を左右します。
足趾の爪が皮膚に喰い込んで痛む「巻き爪」や、足趾の関節が変形したり、炎症をおこしたりする「外反母趾」、「ハンマートゥ」など足の疾患の多くは、つま先部が細く、8㎝以上のハイヒールを長期間履き続けたことが原因であるという報告があります。そして痛みがあっても、我慢してその痛い靴を履き続けたという人も少なくありません。フットクリエイトへ「足の痛みやつらさ」を訴えて訪れる人の中にも、「昔は痛い靴を我慢して履いていた」という方もたくさんおられます。
靴には二つの側面があります。一つは「ファッション」アイテムとしての靴です。毎年変わるファッションとともに、靴にもその年その年の流行があります。また、TPOに応じて靴の履き替えも必要です。ファッションの決め手は足元とも言われ、靴はその重要な要素となっています。
そして、もう一つの靴の役割、それは「道具」としての靴です。道具としての靴は、「歩く」という私たちの活動を支え、同時に歩行時の足への負担をできる限り軽減してくれる要素が必要です。
靴によって様々な足のトラブルが生じる一番の原因は、この「ファッション」と「道具」の役割が棲み分けされていないことから来ています。ヒールの高い、先の細い靴は、人の体へは負担をかけるということを認識した上で、オシャレを楽しむときには、そのファッションに合った、素敵な靴を思いっきり楽しみましょう。そして、日常生活や仕事などでは、足に負担をかけない靴で過ごし、大切な足を守ってあげましょう。このメリハリのある靴の選択が、大切な足を健康的に維持することにつながります。
- 目的を明確にして靴を選ぶ
- 自分自身の足の事を知る
- 靴のフィッティングには十分時間をかける
- 靴は貴方の足のパートナーです。
愛着を持てる一足を選んでください。